Message 1

2011.08.09

 

東日本大震災の後、私は、テレビで避難所の中で寒さに震えているお年寄りを見て、
すぐに寝袋が重宝されるはずだと思い、すぐに寝袋を集め、被災地へと運んだ。
自分の目で見た被災地の惨状に言葉が出なかった。
がれきの山に、強烈な匂い、重苦しい空気、これが現実なのか・・・、
こんな状況で生き残った人がいること事態が、奇跡だと感じた。

4月初め、2回目の支援物資を岩手県陸前高田市や宮城県気仙沼市にとどけ、
避難している人たちに声をかけ、励ました。
それでもやりきれない思いを持ちながら、夕暮れの街並みを見ていた。

その頃は、まだまだ、がれきは撤去されておらず、津波の後におきた火事の跡がそのまま残っていた。
日中には、自衛隊や消防士、警察官の方々ががれきの中で作業しているのを見かけたが、
すでに夕暮れとなっており、作業している人はおらず、
かわりに、宿舎へ戻ると思われる消防車十数台が走っていった。

すると、どこからか、小学生低学年くらいの子供が走って出てきた。
彼は、消防車のほうを見上げると背筋をピンっと伸ばし、「敬礼」をしたのである。

私は、その状況を後ろから見ていて、何とも言えない気持ちになった。
未曾有の大災害で自分の街が壊滅状態になり、生活も一変し、子供たちも心に大きな傷を持ったはずだ。

それでも、多くの人たちが自分たちを そして街を助けに来てくれているのだということを、
その子なりに理解していたのだろう。

その後、「PTG(外傷後成長)」という言葉を知った。
「PTSD(心的外傷後ストレス障害)」は改めて説明することはないと思うが、
「PTG」は子どもの時に心理的に大きなストレスを経験すると、
それがその人の人格形成にプラスに働いて、人間的に大きく成長させる現象とのことである。

この震災の中で、大きく傷つき、つらい思いをしている子供たちはたくさんいるだろう。
しかし、PTSDの先にPTGがあると思えば、人生全ての経験に意味があるのかもしれない。

少なくとも私にはそう感じられる。

その過酷な経験をプラスに出来るのか、それともマイナスのままいくのか、その人次第であるが、
周りでどのように支えていくのか、これも大きな影響となるだろう。

きっと彼が、大人になったころ、
この辛く厳しい体験を糧に、力強く生きていってくれることを願わずにはいられない。